墓じまいを申し出たら、高額な離檀料を求められました。どうしたらいいでしょうか?
神奈川県全域と東京多摩地区でおなじみの地元密着型地域情報誌『タウンニュース平塚版 2019(平成31)年元旦号 紙上ゼミナール Vol.5』に出稿協力しました。 今回は、菩提寺に墓じまいを申し出たところ、住職が激怒し多額の離檀料を求められ大変困っているとのご相談にお答えしてみました。なお、この事例は、昨年まちなかステーションに寄せられたご相談事例を多少変えた形でのご提供となります。
「もともとはお子さまのいないご夫婦でしたが、3年ほど前に配偶者に先立たれてしまった70歳代の女性の方がいらっしゃいました。そう遠くない将来、お墓を維持していくことが難しくなると考えた女性がお墓を閉じたいと菩提寺に申し出たところ、住職は激怒してしまい、暗に高額の離檀料を求めてきたそうです。これまで、毎年の護持会費や盆暮れの付け届けはもちろん年回忌の法要も欠かさず執り行ってきたにもかかわらずです。いったいどうしたものか、誰にも相談できずに途方に暮れてしまったのでした。」
確かに、ご住職の中には非常にプライドの高い方がいらっしゃるのも事実です。しかし、それ以上に寺院にとって墓地は大切な収入源であり、檀家の減少は寺院の存続に直結する重大な問題といえるでしょう。特に、最近のメディアを中心とした「墓じまいがもてはやされている風潮」にはかなり神経をとがらせていらっしゃる住職も大勢いらっしゃるようで、そうしたことへの焦りからでしょうか、何とか墓じまいをさせまいという思惑の下で無理な「永代供養」をすすめてきたり、手切れ金としか言いようのない「離檀料」を得ることで将来的な減収分を補おうという意識が働いてしまうものと考えられます。これは、単に住職の欲得の問題ではなく、寺の存続に強い危機感を持っていることの現れではないでしょうか。
実を言ってしまうと、本来は離檀料に法的根拠はありません。裁判所も、お寺と檀家のもめごとにはできれば立ち入りたくないというのが本音です。しかし、ご先祖様が眠るお墓の引っ越しで菩提寺の住職ともめてしまうような事態は誰しもできれば避けたいところです。では、私たちはどのように対応したらいいのでしょうか。
まずは、これまで私どもに代わって朝晩のお勤めを執り行いご供養に向き合ってくださったご住職に心から感謝の気持ちを伝えるとともに、何よりも低姿勢で真摯に事情を説明し理解を求めることを肝に銘じることが必要でしょう。そして、トラブルを未然に防止してスムーズに墓じまいをしたいなら、改葬について最初から第三者的に冷静に対応できる専門家に代理手続を依頼されることをお勧めします。国家資格を持つ行政書士であれば、寺院との折衝はもちろんですが、故人の本籍をはじめとする戸籍の調査、役所への改葬許可申請までを一括対応できるからです。
「結局のところ、このケースでは、当初は500万円という高額な離檀料の話が持ち上がったのですが、私が何度か同席してご住職と話し合った結果、40万円のお布施で離檀を認めることで何とか話がまとまりました。そもそも、改葬と離檀はまったく別の話であり、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)にも改葬を許可するのは市町村長と定められています。そうはいっても、正直なことを言ってしまうと、私どものような冷静かつ客観的な立場である専門職であっても、お寺の住職に墓じまいのお話を切り出すのは相当な緊張と覚悟を強いられます。出来る限りトラブルにならないように、速やかに円満に墓じまいを進めるための引き出しをたくさん備えている専門家の腕の見せ所ですが、この方の場合はできることならご自分で住職に墓じまいを切り出す前に相談してほしかったと思っています。」
墓じまいで見落としてはいけないこと、それは何よりも菩提寺のご住職に感謝の気持ちをお伝えすることと、その上でしっかりとした法的根拠に基づく知識と調整力だと私は確信しています。
私は、そんなあなたの想いに寄り添い一緒に墓じまいに関わっていく自信があります。どうぞ、お気軽にご相談ください。